Words
『オーケアノス村 ~村長のひとり言~』
~第1話~
『よし!ここに村を建てるか、久しぶりに』
🏛️ プロローグ:沈黙の終わり
かつて、このチャンネルには「伝説」があった。
11年前、ロマサガ3やライブアライブの熱狂を音に詰め込み、
数万の再生数と、84%という高い維持率を誇った栄光の時代。
だが、時は流れ、チャンネルは主(ぬし)を失った静かな遺跡のようになっていた。
2026年3月。
彼はふらりと戻り、かつての領地を見渡して、ふと思った。
「よし、ここに村を建てるか、久しぶりに」
手元には、ギリシャ神話のタイタンをテーマにした渾身の新作
『第6柱:万物を統べる静寂の潮流 -オーケアノス-』
数年ぶりの新作投稿。
それは、荒れ果てた土地に一本の杭を打ち込むような、
穏やかで、かつ野心に満ちた始まりであった。
💡 村長の淡い期待
公開ボタンを押す指には、少しだけ力がこもる。
「今の俺らの音は、どれくらいの人に届くんだろうか?」
「登録者たちはまだ、あの頃の熱を持ってくれているだろうか?」
目標は、かつての伝説たちに並ぶこと。
インプレッションが伸び、新しいリスナーが流れ込み、村が活気づく……。
そんな、クリエイターなら誰もが抱く「普通の夢」を、私はまだ持っていた。
🏺 最初の24時間
投稿して間もなく、数字が動き出す。
再生数が「ちこちこ」と積み上がり、20、30、50……。
そして、ユニーク視聴者数が「24」に到達した。
「お、24人も来てくれたか。滑り出しとしては悪くない。
ここから数百、数千と増えていくんだろうな。」
だが、彼はまだ気づいていなかった。
この「24」という数字が、
これから17日間、一歩も引かない鉄の結束を持つ精鋭集団(騎士団)
の定員だったということに。
そして、アナリティクスの奥底で、「平均視聴維持率 142.2%」という、
物理法則を無視した怪物が産声を上げようとしていたことに……。